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アパート階段崩落に注意!今すぐできる10のチェックポイント

アパートの施工不具合といえばレオパレスの界壁問題や大和ハウスの建築基準法違反などが記憶に新しいところですが、今回のテーマはアパート階段の崩落。「屋外階段の一部に木製の部材が使われており、腐食していた」などの報道がされていますが、実際にどのような原因だったのかは明らかになっていません。なぜ、アパートでこのような施工不具合が多発するのでしょうか。

実需要不動産と投資用不動産の違い

まずその前に、不動産には「実需要不動産」と「投資用不動産」の2種類があります。前者は所有者が自ら使用する(居住する)ための不動産、後者はその物件を他社に貸し出すことで利益を得るための不動産です。

今回のテーマであるアパートをはじめとする賃貸住宅は、その多くが投資用不動産にあたります。オーナー自らはそこに居住せず、利回りを重視で建築コストをなるべく抑えるなどの理由から、分譲住宅や注文住宅よりグレードが低くても仕方がないといった風潮があります。

しかし、ホームインスペクションの現場では、建物や内装・設備のグレードだけではなく、現場管理や施工品質、その後の維持管理において、多少雑であると感じる場面にも数多く出会います。

例えば、新築アパートの引渡前完成検査では、レオパレスと似たような界壁問題や、階段を固定するビスが抜けている、バルコニーを固定する金具がない、共用廊下の壁が傾いているなど、分譲住宅や注文住宅(実需要不動産)ではまず見かけることのない、驚くような施工ミスを発見することも少なくありません。

また、新築後の管理状況が悪く、中古のアパートで鉄骨の屋外階段や手すり、バルコニーの腐食が進み、落下の危険性がある状況になっている建物も散見されます。

アパートの不具合事例

実際に散見されるアパートの不具合事例を写真とともにいくつかご紹介します。

鉄骨でつくられた階段です。サビ、腐食によって落ちそうになっています。柱もかなり傷んでいますので、早めに補修しないと崩落の危険性があります。

2階の共用廊下。手すりの下、縦の格子が外れてグラグラしています。このまま放置すると、手すりに手を置いただけで手すりそのものが落下してしまう可能性があります。

1階の共用廊下から2階の共有廊下を見上げた様子。鉄骨が腐食している様子がわかります。

不具合から起こるオーナー・住民間でのトラブル

オーナーがしっかりと物件の状況を把握していないことが原因で、不具合によって住民に迷惑をかけてしまうことも……。対応の仕方によってはトラブルにつながりかねません。

鉄骨造のアパートの天井部分です。上の方がだいぶ錆びてしまっていますが、これは屋上階の漏水によるもの。放っておくと居室でも漏水が起こります。



共用廊下に住民が荷物(花壇なども含む)を置いているために歩きにくくなっているというケース。住民間、もしくは管理会社間で解決されるべき事例ですが、オーナーとのトラブルにつながる場合もあります。



2階以降の共用廊下。手すりに少し隙間があるのがわかりますね。空き缶など、何かを誤って落とした時に、それがこの隙間から階下に落ち、住民に当たってしまったという事例がありました。こちらは建設時の不具合というよりは構造上の不具合ですが、落下しないような措置を講じることでトラブルを回避できます。

4月から施行されるガイドラインについて

以上のような不具合、事故の再発防止に向け、国土交通省は2022年1月に改正法案を交付し、あわせてガイドラインを公表しました。「木造の屋外階段等の防腐設置等ガイドライン」と「賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドライン」です(4月1日施行)。

「木造の屋外階段等の防腐設置等ガイドライン」の主なポイントとしては、設計時における防腐措置など、所有者(オーナー)がやるべきことが明確になったこと。また、「木造の屋外階段の段板、側板、蹴込み板、踊り場等の階段を構成する部材及び部材同士の接合部」といった形で、その措置の対象を明確にしました。

また、「賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドライン」では、工事を誰がどう監理するのかを明確にしています。オーナーの方は改めてガイドラインによく目を通しておくようにしてください。

住宅は「生命と健康」を守るべき

本来、住宅は「生命と健康」を守るべきであり、この役割は実需要不動産と投資用不動産との間に違いはありません。しかし現実には、この2つには、大きな質の違いが見受けられます。

いま、投資用不動産を所有されている方は、ご自身の所有物件に危険な状況がないか、ぜひ以下のポイントをチェックしてみてください。

  • 階段の歩行時にきしみがないか
  • 階段の手すりにぐらつきはないか
  • 階段や踊り場の周辺に変色は見られないか
  • 階段に傾きは見られないか(ホームセンターなどで容易に水平器は入手可能)
  • 建物本体への階段固定部分にすきまがないか(雨水侵入になるような箇所がないか)
  • 建物本体への階段固定部分の金具にサビは見られないか
  • 建物本体への階段固定部分の周辺の壁にひび割れはないか
  • 管理会社への状況確認依頼 ※管理会社を入れている場合
  • 新築当時の施工会社や設計事務所に相談(仕様や施工は問題ないか、自分ではチェックできないから現地の確認をお願いできないかなど)
  • 入居者への掲示(もしも何か気になることがあった場合の連絡先を示す)

※チェックリストのPDF版はこちら

まとめ

投資用不動産の選び方としては、さまざまなことが考えられます。物件のエリア1つとっても、「こまめに物件を確認できるよう、オーナー宅から車で1時間以内のエリアがいい」、「学生をメインターゲットにしたいので大学の近くの物件がいい」、「ファミリー層に借りてほしいからショッピングモールの近くがいい」など、いろいろなポイントがあります。また、物件の災害リスクに関しても把握しておく必要があるでしょう。

ただし、いかに立地や周辺環境がよくても、物件のコンディションが悪いせいで居住者に迷惑がかかってしまうようなことがあれば本末転倒。投資用不動産をこれから購入される方、既に所有されている方は、物件に何か違和感を抱いたり、気づいたことがあれば、速やかに専門家に相談をしましょう。

さくら事務所では、新築の現場や引き渡し前はもちろん、中古のオーナーチェンジや日々の管理の中で、建物のコンディションを知り、質を向上するための貢献ができればと考えています。これから新築される方、オーナーチェンジされる方、しばらく所有物件に足を運ばれていない方には、収益物件に特化した、賃貸一棟アパートインスペクションをおすすめいたします。

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